Symhpony X (1994) |
||
81点 1.Into The Dementia 2.The Raging Season 3.Premonition 4.Masquerade 5.Absinthe And Rue 6.Shades Of Grey 7.Tauting The Notorious 8.Rapture or Pain 9.Thorns Of Sorrow 10.A Lesson Before Dying
アメリカのメタルと言えば叙情的で繊細な曲作りやメロディーを得意とするヨーロピアンメタルとは全く正反対で、スラッシュメタルやメタルコア、デスメタル、ニューメタルがメインストリームであるようにアグレッションや荒々しさ、ノリの良さが重要視されるような部分が大きく、それはアメリカという国家のイメージそのものを表しているようにも思えます。しかし、このSymphony Xはそのアメリカのバンドらしさを微塵も感じさせないバンドで、その音楽性は母国アメリカよりもここ日本で熱狂的なファンによって受け入れられ、それから徐々にヨーロッパはもちろん本国であるアメリカまで名前を広めていったのです。 彼らの音楽の特徴としてはクラシック音楽に出てきそうなフレーズをテクニカルなバンドサウンドで表現するイングウェイタイプのネオクラメタルスタイルを基調にプログレッシブな面も導入しており、変拍子を多用した複雑で高度な演奏と練られた曲展開が持ち味です。また楽曲からは神秘的でミステリアス、陰りのあるダークさが漂っており、後に彼らのスタイルを真似た多くのフォロワーを生むことになります。 さて、このアルバムがリリースされた時のアメリカではメタルも80年代ほどの勢いを失い、デスメタルがジャンルとして産声を上げ始めた頃。そう考えるとある意味時代錯誤はなはだしい訳なんですが(苦笑)、本国では当然注目させることはなく、何故かこれが当時イングウェイが頻繁に来日公演をするぐらいネオクラメタルが歓迎されていた日本で、全くの無名だった彼らは脚光を浴びることとなりました。この頃はボーカルも次作以降でフロントマンを務めているラッセル・アレンではなく初代シンガーのロッド・タイラーが務めています。 #1.Into The Dementiaはミステリアスなキーボードの音とテクニカルな速弾きギターが聞けるインストでそこからザクザクのギターリフとテクニカルなドラムが切り込む#2.The Ragining Seasonへ。サビメロを始めとしたメロディーも全体的にキャッチーです。間奏ではミステリアスで妖しいコーラスの後にかなり変態的なギターソロが聞けますが、その裏でベースもかなりすごいことになっています(笑) #.3Premonitionは神秘的で美しいキーボードの音から始まる曲で、これもサビメロの妖しい雰囲気とコーラスがいい感じです。しかし、管理人的にツボなのがコーラスと共に哀愁メロディーをボーカルが魂を絞り出すように歌うギターソロ直前の間奏部分ですね。#4.Masqueradeは今作でも最もわかりやすいネオクラチューンで随一のキラーチューンでしょうね。いきなりいかにもネオクラなクラシカルなメロディーを奏でるギターから幕を開ける曲で、パイプオルガン風のキーボードの音とコーラスの後にサビで若干疾走する展開と言いネオクラファンにはたまらない曲になっていると思います。管理人もこういった曲は大好きです。 #5.Absinthe And Rueはキラキラのキーボードとへヴィなギターリフから始まる曲でそこからは荘厳なキーボードを活かした空間の広がりがある世界観を見せてくれます。これもサビメロの裏のパイプオルガン風のキーボードが好き物にはたまらないでしょうね。間奏では目まぐるしく入れ替わる長いテクニカルなギターソロ、ベースソロが聞けます。#6.Shades of Greyは哀愁メロディーを奏でるシンセとメロディーがたまらないバラード。このメロディーがまた哀愁好きの管理人に見事クリーンヒットするんですよね〜(笑)それとは相反するような優しく穏やかなサビメロ印象的ですし、ギターソロがテクニカルながらも泣きのメロディーを奏でまくっているのもまたニクイところです。 #9.Thorns Of Sorrowはへヴィなギターリフとパイプオルガン風のキーボードが掛け合いを見せた後に疾走するネオクラ風の疾走曲。これはほぼ疾走だけにこのアルバムの音質の軽さが浮き彫りになりますね・・・曲は良いだけに少々残念です。 ラストの#10.A Lesson Before Dyingは11分越えのプログレッシブな大作です。穏やかで哀愁を持ったメロディーのアコギとボーカルから始まり、ザクザクしたギターリフとクラシカルなキーボードの音と共にバンドサウンドが全開になります。サビメロはフックあるキャッチーなメロディーも聞けますし、裏のキーボードも荘厳さを出していますね。サビ後のドラマティックな展開を見せるキーボードとボーカルメロディーの後は長い間奏に突入し、楽器隊の見せ場と言わんばかりに様々なソロを始めとした変態的でテクニカルなプレイを披露しています。確かに凄まじいんですが、ちょっとここが人によってはダレてしまうかもしれません。しかし、全体的に展開の上手さは見事です。 自主制作で作成された故かともかく音質が軽すぎるのと(特にドラムの軽さはかなり厳しい・・・)、ロッド・タイラーのボーカルが次作以降のラッセル・アレンのボーカルに比べるとかなり不安定というか妙な細さがあってイマイチ管理人は馴染めないんですが、曲自体はこの頃から彼らの持ち味というのが荒削りながらしっかり出ていますね。むしろ、これ以降の彼らよりも作風自体は比較的ストレートなので結構聞きやすいかもしれません。 現在のメンバーや環境で再録すれば管理人的には充分名盤になるポテンシャルを秘めているんじゃないかと思います(まぁ、Masqueredeに関してはなんだかんだで後に再録してくれましたが・・・)
|
||
The Damnation Game (1995) |
||
87点 1.The Damnation Game 2.Dressed to kill 3.The Edge of Forever 4.Savage Curtain 5.Whispers 6.The Haunting 7.Secrets 8.A Whinter's Dream-Prelude(Part 1) 9.A Whinter's Dream -The Ascention(Part 2)
今アルバムからフロントマンに現在までボーカルを務めているラッセル・アレンが加わります。このラッセルは力強くも感情や情念を上手く表現するパワフルな歌唱を得意としており、管理人的にメタルのシンガーでもトップクラスに好きなボーカルの一人です。初参加となるこのアルバムでもパワフルな歌唱を披露してくれているため、ボーカルにやや難のあった前作と比べるとバンド自体が飛躍的にレベルアップしたように感じますし、もう一つの問題だったスカスカで劣悪な音質もまだやや軽いもののかなり向上しています。 作風自体は前作をよりレベルアップさせた音楽になっており順当な進歩を遂げていますね。 #1.The Damination Gameはこのアルバムでも一番のキラーチューンと呼べるネオクラ疾走曲です。いきなりピロピロのネオクラ全開なギターと荘厳なキーボードが聞け、ベースソロを挟んだ後にキラキラなキーボードと共に疾走開始。この時点で多くのネオクラファンやメロスパーはノックアウトでしょう(笑)サビの前ではテンポが落ちますが、サビに入ると再び疾走を再開します。彼ららしいコーラスもかなり効果的に使われていますし、ギターソロやキーボードソロも変態的なソロの掛け合いを見せたりとのっけから飛ばしています。 #2.Dressed to Killもへヴィなリフとミステリアスなキーボードで始まる曲で、サビもキャッチーなんですがこの曲のいい所は2回目のサビ以降はサビが転調する所ですね。この転調部分は本当にラッセルのボーカルが映えます。間奏のネオクラらしいギターソロとキーボードの掛け合いも非常に綺麗なメロディーを奏でていますね。#3.The Edge of Foreverは静かで空間の広がりを見せるギターの音とキーボードの音から始まる曲で、緩急をつけた曲展開はいかにもプログレメタルな空気が流れています。ボーカルも妖しいメロディーを囁くように歌い始めますが、その後へヴィなリフとテクニカルなドラム、ピロピロのキーボードと共に若干疾走します。その後に哀愁を持った妖しさを持つメロディーを歌うボーカルが管理人的にはとてもツボです。何気に8分以上ありこのアルバムでは一番長い曲ですが、全く飽きずに聞けますね。 #5.Whispersは幻想的な哀愁を持ったいかにもプログレにありそうなバラード。これもサビの哀愁メロディーはもちろんギターソロのメロディーも哀愁を放ちまくっていますね。間奏のドラマティックさを演出するコーラスやピロピロで劇的なギターソロも管理人の好みを的確に突いてきますし、隙がありません。#7.Secretsは荘厳なキーボードと一定のリズムを刻むベース、ドラムから始まりザクザクのギターリフから始まる曲。サビメロはあまり印象に残らないものの、ミステリアスで神秘的なキーボードが聞ける彼ららしい曲のため雰囲気自体は好みです。 #8.A Whinter's Dream-Prelude(Part 1)は彼ららしからぬ穏やかなメロディーが聞ける幻想的なバラード。ちょっとロマンティックで淡い甘さがあり、ダークな曲調を得意とする彼らにしては異色な感じですが終始幻想的な雰囲気を漂わせており、管理人的にはこういう曲も全然アリというか大好きです。そこからつながる様に#9.A Whinter's Dream-The Ascention(Part 2)へ。前の曲から一転して妖しいキーボードの音がダークさを演出し、最初からザクザクなリフとテクニカルなギターソロも飛び出します。 サビメロも耳に残るキャッチーさがあり、彼ららしいミステリアスな空気が終始漂っています。 前作に比べるとプログレ要素がやや強まっているものの、メロディー自体は相変わらずキャッチーで独特の雰囲気を持っているので退屈になることなく展開美を楽しむことができますね。また、テクニカルさやネオクラな面に注目が集まる彼らですが隠れた強みとしてバラードの出来が非常にいいため、そこも評価を上げている大きなポイントになっています。 管理人的に彼らのアルバムは次作の3rdフルアルバムが一番好きなんですが、このアルバムも良曲揃いなので特にネオクラファンは是非聞いていただきたいアルバムですし、このダークで幻想的な雰囲気はヴィジュアル系に若干通じるものがあると思うのでヴィジュアル系ファンにもオススメです。
|
||
The Diving Wings of Tragedy(1996) |
||
98点 1.Of Sins and Shadows 2.Sea of Lies 3.Out of the Ashes 4.The Accolade 5.Pharaoh 6.The Eyes of Medusa 7.The Witching Hour 8.The Divine Wings of Tragedy 9.Candlelight Fantasia
今作は彼らの中でも今だ最高傑作との呼び声高く、ネオクラシカルメタルの名盤としてたびたび名前が挙がるほどネオクラファンからも愛されているアルバムです。 音質もようやく問題のないレベルまで向上していますが、今作の大きな特徴と言えばPANTERAの影響と思われるへヴィなギターリフでしょうか。今までは程よい軽さのあったリフが、PANTERAの特徴であるギラついた本格的なへヴィさを身に着けたリフに変化しております。しかし、そこはSymphony X。リフはPANTERAっぽさがあっても彼らのミステリアスでダークなメロディーラインや空気感の演出、テクニカルかつプログレッシブな演奏と曲作りはよりレベルアップしており、その二つが絶妙に絡み合った結果凄まじいクオリティーを生み出すことに成功しました。 #1.Of Sins and Shadowsは管理人が多分あらゆるメタルの曲でも一番好きな曲と言えるほどのキラーチューンです。早速今作の特徴であるへヴィなリフが小さく聞こえた後に、本格的なへヴィリフが登場。ミステリアスでダークなキーボードがそれに覆いかぶさるように聞こえ、もう彼らの独自の個性がのっけから炸裂しています。展開もわかりやすく、サビメロもキャッチーな哀愁メロディー。間奏も相変わらずバカテクなギターソロが聞けます。随所で出てくるコーラスもいい感じで、ラストのサビはこのコーラスが転調してあの哀愁サビメロを歌うという反則わざを披露(笑)で、このラストのサビの裏のベースが管理人的にはたまらない。文句の付け様がない名曲です。 #2.Sea of Liesはミステリアスで神秘的なキーボードの後に超絶なベースソロが飛び出し、へヴィなリフが若干の疾走を見せる曲。この曲は最初のベースソロを始め、印象に残るベースラインが目白押しで本当にベースが大活躍していますね。メロディーも彼ららしいミステリアスな空気満載ですし、間奏ではギターとキーボードのテクニカルなソロバトルもあります。#3.Out of The Ashesは彼らの代表曲にしてこのアルバムでも多分一番人気であるキラーチューン。彼らにしてはわかりやすい疾走ネオクラチューンで、曲も4分足らずとちょうどいいコンパクトな長さ。キラキラなキーボードとへヴィなリフと共に疾走する展開は多くのネオクラファンが大好物にしている音でしょう(笑)ミステリアスなコーラスやサビメロの陰のあるキャッチーさ、テクニカルな楽器隊の見せ場とも言える間奏と短いながら彼らの魅力を凝縮したような曲ですね。 #4.The Accoladeはアコギとヨーロッパの民謡風なメロディーを奏でるキーボードから幕を開ける9分越えの大作。この出だしの浮遊感のある部分はプログレらしいですね。そして、キラキラした幻想的なキーボードとともに泣きまくりのギターとへヴィなリフも登場し、サビメロも幻想的で儚いメロディーを聞かせてくれます。間奏もテクニカルなソロを始めドラマティックに展開していき、再びあのサビメロがドラマティックに登場。その後はパイプオルガン風のキーボードをバックに儚く歌い上げるボーカルが神聖さを感じさせます。そして最後もサビメロが聞けて終了です。キーボードがいろんな音を出していますし、展開美も見事ですね。#7.The Witching Hourはこれもクラシカルなメロディーを演奏するギターとキラキラキーボードの絡み合いが聞けるネオクラファン大喜びの一曲。このアルバムの他のキラーチューンに比べると少しメロディーが弱いような気がするもののミステリアスな音使いやメロディーはやはり彼ららしいですね。 アルバムのタイトルチューンである#8.The Divine Wings of Tragedyは何と20分越えの超大作。かなり気合が入っていますね(笑)まるで教会にいるかのような荘厳でクラシカルなクワイアから幕を開け、リズミカルなリフを刻むギターと不穏で美しいキーボードの音で徐々に盛り上がってきますが、ボーカルが入るまで5分かかります(苦笑)その後も様々なアプローチを見せるめくるめく曲展開を見せていきますが、正直かなり凝った作りになっており、プログレやクラシック等で長尺曲にある程度耐性がある人でないと聞きとおすのは少し辛いかもしれませんね。展開自体も非常に作りこまれてはいますが、いかんせん長過ぎるため良さを理解するのはある程度聞きこまないと難しいと思います。 #9.Candlelight Fantasiaは哀愁の泣きメロを持ったバラード。タイトル通りろうそくが表す様々な儚さを表したようなバラードで、これもメロディーが哀愁好きの管理人のツボを突きまくります。展開も彼ららしくプログレッシブに展開していますが、何と言ってもこの悲壮感や儚さをうまく綺麗に表現するラッセルのボーカルがもう好き過ぎてたまりません(笑) 彼らの個性を集約したかのような濃密で独自性の強い一枚になっていますね。1st、2ndと二つのアルバムを出して歩んできた彼らの音楽の個性はひとまずこのアルバムにて完全な形で完成したと言っていいでしょう。ネオクラファンは必聴レベルの名盤ですし、メタル全体として見てもこれほどの名盤はそうそうお目にかかれるものではないと思いますので彼らに興味を持った方はまずこのアルバムから入って頂くのが一番かと思います。 管理人もこのアルバムは墓の中まで持っていきたい名盤と呼べるぐらい大好きなアルバムです。
|
||
Twilight in Olympus (1998) |
||
91点 1.Smoke and Mirrors 2.Church of the Machine 3.Sonata 4.In the Dragon's Den 5.Through the Looking Glass(Pt 1.2.3) 6.The Relic 7.Orion - The Hunter 8.Lady of the Snow
前作のアルバムが大成功を収め、日本のみならずヨーロッパからも注目を浴び始め一気に飛躍し始めたSymphony Xですが、何とバンド結成時からのメンバーでありバンドの複雑なリズムを支えていたドラムのジェイソン・ルロが個人的な事情を理由に脱退を表明します(結局は次作でまた復帰していますが・・・)それを受けて今回はドラムにスタジオミュージシャンであるトーマス・ウォーリングなる人物が参加していますが、テクニカル極まりないSymphony Xの曲を難なく叩いているあたり、ジェイソン脱退の被害は最小限に抑えられていますね。 さて、今作も作風は相変わらずSymphony X節炸裂な一枚になっていますが、曲の尺が平均的に伸びていたり、さらに展開美を重視した部分が増えたりとよりプログレ色が濃くなっている一枚になっていますね。前作で見られたPANTERA的なへヴィなリフも今回は特に用いられておりません。 #1.Smoke and Mirrorsは一曲目ということでやはりというかネオクラファン歓喜のキラーチューンです。イントロのギターのスウィープとキーボード、ドラムがリズムを刻み、ギターリフと彼ららしい神秘的でミステリアスなキーボードが覆いかぶさるように疾走を見せます。このイントロでごはん何杯いけるだろうかというぐらいです、本当好き物にはたまらない(笑)サビメロもキャッチーですし、間奏はパイプオルガン風のキーボードが荘厳さを演出したのちにお待ちかねのキーボードとギターのソロバトルです。それぞれテクを見せつけるかのように交互にバカテクプレイを連発しています(笑) #2.Church of the Machineは9分近くあるプログレチューンです。出だしの無機質な機械音に面喰いますが、すぐに彼ららしいキャッチーで壮大なメロディーを歌うコーラスが登場。期待感を煽るドラムとギターリフ、その裏のさり気に主張しているベースと共に少し疾走します。その間も荘厳な空気を崩さないキーボードはきっちりと存在感をアピールしており、ボーカルも登場後は変わらずスリリングな展開を見せ、冒頭のコーラスのサビへ。その展開をまた繰り返し、テクニカルなギターソロとキーボードソロへ。そしてまたサビへなだれ込みます。終始彼ららしい無駄の少ない曲展開ですし、この曲はキーボードの空気感の演出が特に秀逸です。前の曲から続くように短いインストナンバーの#3.Sonataへ。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」 第二楽章のあの有名なメロディーを拝借して、甘美なキーボードとテクニカルな泣きのギターで曲を表現しています。 #4.In the Dragon's Denは怒涛のテクニカルなドラムソロから始まる疾走曲で、今作でもわかりやすくストレートな部類の曲ですね。力強いラッセルのボーカルが印象的ですし、ミステリアスな雰囲気を持ったコーラス、サビメロの哀愁メロディーとその裏のダークで神秘的なキーボードと、いつも通りの彼らの楽曲ながらやはり管理人のツボです(笑)間奏は楽器隊のソロタイムもきっちり用意されており、特に耳を惹くのがベースソロですね〜。どんだけ速く指動いてんだという感じです(苦笑) #5.Through the Looking Glass(Pt 1.2.3)は今作で最も長い13分越えの大作。キラキラとしたキーボードとリズムをとるベースにドラム、渋さを感じさせるギターから幕を開け、ピアノをバックに力強く歌い上げるボーカルも登場。このピアノがまた凄く甘く耳に残るメロディーなんですよね〜。コーラスと共にがなるように歌うラッセルのボーカルの後は、テクニカルな速弾きギターソロが登場。その後のミステリアスで広がりのあるシリアスな空間を演出するクラシカルなピアノがまたわかってるなという感じでいいですね。空気感はそのままにすぐバラード調になりアコギをバックに淡々と歌い上げるボーカルが聞けた後は、再びギターリフが登場。楽器隊の音を強調する形になり、ラッセルがコーラスも交えて壮大でファンタジックなメロディーを力強く歌い上げます。そして、リズミカルなベースとピアノの音から今度は彼らのトレードマークであるギターとキーボードによるソロバトルです。そして再びあのファンタジックで壮大でメロディーを歌い上げ終了です。終わり方もすっきり終わりますし、あのファンタジックなメロディーのせいか聞き終わった後は謎の爽快感がありますね(笑)展開のそれぞれに印象的なメロディーが散りばめられているため、全く飽きが来ないのは曲の構築力のある彼らの実力の証と言えるでしょう。 #8.Lady of the Snowは吹雪の中にいるような音から始まり、何と和楽器である琴の音が聞けるバラード。タイトルや曲の雰囲気からするに多分日本の雪女がモチーフなんでないかと思います。冒頭のギターのアルペジオと琴の不気味な掛け合いを始め、メロディーのセンスもどこか日本的です。その後はコーラスも登場し。寒々としたキーボードと妖しいメロディーライン、プログレッシブなギターソロと楽曲自体は彼ららしいこと極まりないんですが・・・サビメロの甘さと哀愁の合間を縫うメロディーもまたいい感じですね〜。ラストは転調するのがまたツボです。彼らの日本のファンに対するサービス曲とも言えそうですが、相変わらずバラードの出来もいいという彼らの法則に従ってか完成度の高い一曲になっています。 インパクトという点では前作に劣るものの楽曲はより洗練されてきた印象があり、曲も充実した楽曲が並んでいるため安心して聞くことができるアルバムになっていますね。少しプログレ要素が強まったせいか前作に比べるとストレートさが減退していますが、メロディーは相変わらず耳を惹く物ばかりなのでわかりにくくさは若干上がったものの、聞き難さはさほどないのがメロディーセンスもいい物を持っている彼らの強みでしょう。
|
||